「ケツで止まれ」という表現をされることがよくあります。
これは、減速動作を大殿筋やハムストリングを働かせて行えという意味です。
しかし、「大腿四頭筋はブレーキ筋」という表現や、「止まるときにもも前が疲れる」という現象が起きることはよくあり、どっちなの?と疑問に思うことはないでしょうか。
そもそも、「加速するときや走る時も大殿筋やハムストリングが重要だと言われるのに、なんで逆に減速する時も同じ筋が大切だと言われるのか?」という疑問を感じる人もいるかもしれません。
これは、筋の収縮様式が加速と減速では異なることが理由です。
加速時の大殿筋とハムストリング
加速時には、股関節を薪炭させることで爆発的なパワーを生み出します。
その際に働くのが、大殿筋やハムストリングなどの股関節伸展筋です。
#22 ハムストリングのトレーニングを股関節伸展で考えるか膝関節屈曲で考えるか① - Matsu Sports Training
#41 ルーマニアンデッドリフトでサッカー選手のハムストリングを補強する。 - Matsu Sports Training
加速を含むランニング時にこれらの筋が重要だということはよく知られています。
減速動作でも大殿筋とハムストリングが重要
効率の良い減速には
- 地面反力
- 重力
の2つを活用することが重要だと以前書きました。
#17 減速のスキル① 「地面反力」を効果的に活用するためには?
地面反力を効率よく利用するためには、足の角度が重要で「ネガティブシンアングル」と呼ばれる下腿(脛)の角度が上手く作れることが必要です(リンク先参照)。
このような減速動作時ですが、筋の活動に注目すると、大殿筋やハムストリングが遠心性収縮で活動していることがわかります。
大殿筋やハムストリングなどの筋は、股関節を伸展(伸ばすように)働く筋で、背筋(広背筋や脊柱起立筋)は上半身を伸展させるように働く筋です。
これらの筋が遠心性収縮することで、姿勢が崩れず効率よく地面に力を伝えることができます。
仮に、減速でこれらの筋があまり働かない、となると、もともと走っていた速度に負けて、股関節と上半身が曲がった姿勢になってしまします。
こうなってしまうとうまく減速することができません。
もちろんその原因は筋だけではないですが、一要因として見逃せないポイントです。
また、今回は、股関節と背中の筋に注目しましたが、実際の減速時には膝関節も曲がらないように働くために大腿四頭筋も遠心性収縮をしています。
しかし、効率よく減速するためにはできるだけ大臀筋などの貢献度を高め、股関節を優位に使った動作をしていきたいところです。
このような動作をしてしまうと、いわゆる「もも前が疲れる」「大腿四頭筋で止まる」という状態になりやすいので改善が必要かもしれません。
まとめ
減速で身体の後面の筋が遠心性収集してて、それが重要なポイントだ、
ということがわかると、今度は例えばウェイトトレーニングでなぜゆっくりしゃがんだり、おろしたりすることが大切なのかということがわかってきます。
遠心性の筋力の重要性も感じられますね。
それは次回以降で書いていきたいと思います。