#51 なぜ股関節を動かすときに上半身が曲がってはいけないのか?

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昔、質問箱で

「股関節を回すときに体が捻れてしまうのはどうしてダメなんですか?」

といった趣旨の質問がきました。

 

今回は、これに関して書いていきたいと思います。

 

 

股関節と上半身の関係性

例えば、サッカー選手がよく行うダイナミックストレッチの一つに、ステップを踏みながら股関節を回す、というものがあります(7分20秒あたりから数種類行っています)↓


これがサッカー日本代表の練習前の準備運動 部活や少年サッカーの参考に

 

股関節は関節が球状になっているので、構造上はどの方向にも動かすことができます。

しかし実際は、筋や靭帯、関節包などの要因で制限がかかり、他の関節に比べて可動域は大きいものの、多くの人は一定の範囲で制限がかかります。

この動画で行われている動きを一通りやってみると何かしらの動きで体の硬さを感じる人がいるかもしれません。

 

上の動画の動きを見てみると、例えば脚を横に広げるときに体がまっすぐのまま横へ広げている選手もいる中で、反対側に体が倒れている選手がいる中もいます。

 

前者と後者で何が違うか考えると、見た目上同じ位置まで脚が上がっていたとしても股関節の動きをみると、前者の方がより大きく動かせているわけです。

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同じことは他の動きでもいえて、上半身が不要に動いている場合は、ぱっとみ同じに見えたとしても、股関節の動きが十分に出ていない場合があります。

 

以下の動画は岡崎慎司選手の動画ですが、腿上げのトレーニング映像から上半身と股関節の関係を見ることができます(45秒から)↓


岡崎慎司カラダ覚醒メソッド

NGとして、「前かがみになっている」が紹介されていますが、前かがみになることで、姿勢が悪くなることはもちろんですが、上記と同様、見た目上脚が同じ高さまで上がっていても、股関節が同じように動いてるとは限りません。

 

 

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となると、姿勢が崩れたり、効率よく力を発揮できなくなったりする原因となります。 

 

最初の図では、同じ高さまで脚をあげるのに、股関節が動かない人は体を逆側に傾けなければならず、姿勢が崩れてしまうのがイメージできると思います。

 

同じように2つ目の図でも、姿勢が崩れることはもちろん効果的に力を発揮することができなってしまいます。

 

動きの連動か代償か

上記のように目的の動きを行うのに、本来動かしたい部位だけでは不十分なときに他の部位で補おうとすることを代償と言います。

前項の図はよくある代償と言えるでしょう。

 

とはいうものの、実際の運動中は、股関節が単独で動くのが良いことだとは限りません。

 

例えばキック動作は股関節の運動がとても大切ですが、それだけではなく上半身が動くことで強く効率の良いキックができるわけです。

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同じようなことは他の運動でも思い当たると思います。

 

必ずしも股関節を単独で動かすのがベストではないことを理解しておくことが必要です。

#9 ヒップヒンジはあくまでトレーニングのための動作であり、競技スキルではない。 - Matsu Sports Training

 

#11「ブラジル体操」をウォーミングアップとして行う際に考えることは? - Matsu Sports Training


ただ、多くの場合は股関節の動きで代償が出てしまうのであればスポーツ中の動きでも同じように本来動いて欲しい部位と違う部位が動くでしょう。

 

と考えれば、トレーニングエクササイズの中で股関節の可動性を代償なく出せるようになることは重要なことの一つかなと思います。

 

まとめ 

股関節を動かすエクササイズはたくさんありますが、トレーニングの目的次第でどうやって動くのか、は変わってくると思います。

 

もしも、股関節の可動域や可動性、筋力などを高めたいなら、なるべく代償を出さない方がいいと思いますし、そうではなく競技の中でのトレーニングや、それ以外でも連動性を高めたいなら上半身と連動させて動かすのがいいかと思います。

 

ただ、サッカー含め多くのスポーツでは股関節の可動域・可動性は重要な要素となるので、単純に可動域が狭い選手はまずはそこから取り組むのがいいかもしれません。

 

そして可動域が広いことと、自分で動かせることはまた違うということも理解しておく必要があるかなと思います。