久々のアジリティに関してです。
ここまで2回に分けて、アジリティと方向転換について基本的なことを書いてきました。
1回目は、
- アジリティの構成要素のモデル
- 地面反力と重力を利用して移動することの基礎
という点から。
2回目は
- 地面反力と重力を利用してパフォーマンスを高めるには?
という点から書きました。
よく「重心移動が~」や、「地面を蹴ってはいけない」と表現され、それがよくないこととされることがありますが、それが具体的にどんな状態で、どうしたらそれが解決できるのかを耳にすることはあまりありません。
ふわっとしたあいまいな表現が独り歩きしていることが多いように感じます。
ということで今回はそのあたりについて、これまでの2回を踏まえながら触れていこうと思います。
踏ん張るとはどういうことなのか?
「地面を蹴ってはいけない」
「踏ん張るから居ついてしまう」
「重心移動だ!」
といった表現を耳にすることがあります。
ではそもそも「踏ん張ると」とはどういうことなのでしょうか?
そしてなぜ踏ん張ってはいけないのでしょうか?
方向転換時に「踏ん張る」「地面を蹴る」と表現される状態は、おそらく下の図のような状態だと思われます(おそらく、という表現をとるのは、僕はこの言葉を使わないですし、この言葉を使う人から直接話を聞いたわけではないため正確な意味では推測の域を出ないためです。)。
もっと明確な言葉にすると、方向転換における「踏ん張る」「地面を蹴る」とは、
- 重心位置を支持基底面上から十分に外すことができていないために、
- 移動に必要な力の多くを地面反力に頼らなければならず、
- さらにその地面反力は、垂直方向の成分が大きくなっている、あるいは十分に発揮できておらず、
- 結果的に接地時間も長くなっている
状態
と言い換えることができると考えています(長いですね笑)
この状態は、次の姿勢(この場合は次の方向への加速のための姿勢)を作るために、重力を十分に活用できないため、地面反力に大きく依存して、しかもその地面反力は方向がずれている状態で、という悪条件で運動を行わなければならなくなります。
また、大きな地面反力を発揮するため、あるいはそれまでの速度を減速するために、各関節を大きく屈曲させることが求められる可能性も考えられます。
#18 減速のスキル② 「重力」を効果的に活用すればもっと楽に減速できる。 - Matsu Training Room
つまり効率が悪いのです。
このような言葉にしてみると、逆に踏ん張らないためには、①~④を解決してあげればいいんじゃないの?と考えることができます。
そうすると、これまでに書いてきたことがいきてくるわけですね。
#19 サッカーとアジリティ:「地面反力」と「重力」の活用を考える - Matsu Sports Training
#20 アジリティ・方向転換のパフォーマンス向上のためには? - Matsu Sports Training
踏ん張らないためにはどうするか?
確かに踏ん張る、重心移動ができないと表現される状態は効率が悪そうだ、疲れそうだということが感じていただけたでしょうか。
すると問題は、これをどう解決するか、より言語化すれば1~4をどう解決するか、となります。
方針としては上記リンクの過去記事に書いたように
- 脚を遠くにつくこと
- 身体を傾けること
などが考えられるわけですが、じゃあその意識をしたらできるか?と言われれば実際には可能な限り速いスピードで行うことが求められることを考えると、そう簡単にもいかないでしょう。
長くなりそうなので一度切ります。
ということで次回以降には、
じゃあ1~4を結果的に解決できるように、こういう風に考えてみよう
といった感じで書いていきます。