#22 ハムストリングのトレーニングを股関節伸展で考えるか膝関節屈曲で考えるか①

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アスリートはパフォーマンス向上、競技での勝利のために日々鍛錬を続けています。

継続は力なりとは言いますが、スポーツにおいても、質の高いトレーニングを行うだけでなく、それを継続して行くことが能力向上において欠かせない要素です。

 

その「競技を継続する」ということの障害になるのが怪我、つまり「傷害」です。

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#21 一度脚を後ろに引いてから加速する場合にスムーズに動き出すためのポイントは?

 

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今回は球技スポーツにおける、スタート動作と加速局面に関して、特に初めの1,2歩目に関して書いていきます。

 

今回はいつもよりも多く(いつもも多いですが)私見ががんがん入ってますが、そう思って読んでください。

 

【過去ブログで2017年5月9日に書いた記事をリライトしました。】

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#20 アジリティ・方向転換のパフォーマンス向上のためには?

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前回は、アジリティに関して、方向転換のスピードの要素の1つである「テクニック」から話をしていきました。

 

アジリティのモデルではテクニックとして

 

  • 足の接地位置
  • ストライドの調整
  • 身体の傾きと姿勢

 

があげられています。

しかし、それだけ言われても、じゃあ実際どうしたらいいの?がわかりませんよね。

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#19 サッカーとアジリティ:「地面反力」と「重力」の活用を考える

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 アジリティという言葉は様々な場所で聞かれますが、そのアジリティを向上させるための明確なトレーニングプロトコルはいまだ示されていません。

 

それは、アジリティに関わる要素が多いからで、その人それぞれの課題によってトレーニングのポイントが大きく変わってくるためだと思われます。

 

そんな中で今回は

 

  • 地面反力
  • 重力

 

の2つに着目して方向転換とアジリティに関して考えていきたいと思います。

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#18 減速のスキル② 「重力」を効果的に活用すればもっと楽に減速できる。

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前回投稿で、人が動くには

  • 重力
  • 地面半力

の2つが主に働くと書きました。

 

そして減速時における地面反力の活用に関して簡単にですが書きました。

 

今回はもう1つの力の重力に関してです。

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#17 減速のスキル① 「地面反力」を効果的に活用するためには?

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人が動くために働く力の主なものとして

  • 重力
  • 地面反力

の二つがあげられます。

 

前方への移動を考えると、

  • 重力によって前方に倒れようとする力
  • 地面に対して力を加える(筋による出力)ことでうける地面反力

によって前方へ歩いたり、走ったりできるというわけです。

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#16 例えば、走るときに腕を後ろに振るのか?前に振るのか?という話で。

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先日ある勉強会に参加した時の話です。

 

実技も含まれており、行ったのはベーシックなエクササイズでしたが、新たな発見や理解があり行ってよかったと感じています。

 

そのセミナーで、

「走るときに腕は前に振るか?後ろに振るか?」

といった話があがりました。

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#15 運動時に自分の身体に意識をむけるか、それとも外側に向けるか -内的焦点と外的焦点-

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人の運動には何かしらの目的が伴うもので、目の前にある食べ物を手に取りたいから手を伸ばし、100m離れたあの人のもとに行きたいから走りだします。

 

この時、自分の意識は自分の身体には向いておらず、目の前の食べ物や、遠くにいるあの人に意識が向いています。

 

対して、ウェイトトレーニングでは大殿筋に意識を集中させますし、新しい動作を習得したいときにはこんな感じかな?と自分の身体感覚と向き合うことになります。

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#14 怪我をした後は「適切な負荷」をかける。早期からの”Optimal Loading” -POLICE-

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怪我をしてしまったら、まずは応急処置が必要となります。

これまで、受傷後の対応としてRICEやPRICEがメジャーな方法として用いられてきました。

RICE、またはPRICEは

  • P:Protection(保護)
  • R:Rest(安静)
  • I:Icing(冷却)
  • C:Compression(圧迫)
  • E:Elevation(挙上)

の頭文字をとった言葉で、受傷直後にはこれらの処置を行いましょう、とされています。

僕が大学で教わったのもこのRICEあるいはPRICEです。

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#13 日本トレーニング科学会大会で感じたトレーニング指導に必要な能力。

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先日、日体大世田谷キャンパスで行われた日本トレーニング科学会大会に行ってきました。

友人に誘ってもらったのがきっかけです。

 

大学の卒業論文のポスター発表で、日本コーチング学会には参加したことがあったのですが、個人的に学会に行くのは初めてでしたし、大学の頃とは違い、スポーツ・トレーニングといったところから少し離れてしまった(現場での活動があるので離れてはいませんが)と感じていたので、タイミング的にはとてもよかったです。

 

1日目は参加できなかったので、2日目だけの参加でした。

シンポジウム、ランチョンセミナー(筑波大の征矢先生が講演していてなんだか懐かしい気持ちになりました笑)、ポスター発表が行われたわけですが、今回は主にシンポジウムに関して、それと全体を通しての個人的な感想を書いていきます。

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#12 広背筋を働かせたい背中のエクササイズは、肩甲骨に注目することも大切だけれどそれだけでなく。

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ラットプルダウンや懸垂、マシンやダンベル、バーベルを使ったローイング系エクササイズは、背部の筋、主に背部の筋力向上を目的に行われます。

 

背部には多くの筋がありますが、この場合、使いたい、負荷をかけたい筋は広背筋です。

しかし、その広背筋の働きを知らないことで、肩甲骨を動かすことや、脇の下あたりの筋を使ってる感覚でエクササイズに取り組んでいる選手も少なくありません。 

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#11「ブラジル体操」をウォーミングアップとして行う際に考えることは?

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ブラジル体操。

 

サッカーに関わる人なら誰でも一度はやったことがあるのではないでしょうか?

しかし、どんな目的で行っているのか、その動きが適切なのかという点は見過ごされて、練習前・試合前の儀式として行われていることも多いです。

 

ということで、今回はブラジル体操について考えてみます。

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#随時更新 おすすめ書籍(学生トレーナー・指導者・選手・医療系学生向け)

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この記事では、トレーナー・選手・PT学生などの方にお勧めできる書籍を随時更新しながら載せていきたいと思います。

 

新しい知識・考え方を得る方法として、人に会う・話を聞く、インターネットで検索する、SNSを活用する、論文を読むなど様々な方法がありますが、「本を読む」ことは自ら学んでいくために避けられないと思います。

 

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#10 サッカー選手の傷害予防プログラム「FIFA11+」の効果はどれくらい?

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FIFA11+を知っているでしょうか?

 

サッカー選手を対象にした傷害予防プログラムです。

せっかく一つの形としてまとめられているのに、いまいち知名度が低い気がするので簡単に紹介してみます。

 

 

FIFA11+

FIFA11+は、サッカー選手の傷害予防を目的に作成されたエクササイズプログラムです。

もともとはFIFA11という形でしたが、改良され今の11+になったようです。

 

そんなFIFA11+は、Part1, Part2, Part3の3パートで構成されています。

  • Part1:ランニングエクササイズ(6種目・8分)
  • Part2:筋力・プライオメトリクス・バランス(6種目・10分)
  • Part3:ランニングエクササイズ(3種目・2分) 

という内訳で、トータル15種目を約20分で行うことができるようになっています。

 

また、Part2の「筋力・プライオメトリクス・バランス」はレベル別に3段階用意されていて、段階に合わせて選択できるようになっています。

 

具体的なエクササイズは、JFAのHPでPDFを配布しているので確認することができます。

JFA HP FIFA11+

 

youtubeには、動画形式で投稿されているので、映像で見たい人はどうぞ。

(以下の動画はデモンストレーションががいまいちですが、流れはわかりやすいと思うので貼っておきます。。。)

www.youtube.com

 

どれくらい効果がある?

このFIFA11+ですが、

 

「傷害発生を60%ほどに減少させることができる」

 

とするシステマティックレビューがあります。

プログラム自体は簡単なもので、誰でもできることを考えると効果的なのかなとは思います。

 

60%という数値に関してどうとらえるかはそれぞれだと思いますが、

 

「筋力トレーニングを行うことで傷害発生を1/3以下に減少させることができる」

 

といった別の研究がある上で考えると、数値としては何とも言えない気がします。

(もちろん条件が違うので単純に比較はできません。)

 

しかし、

 

  • グランドで行えること。
  • 用具を必要としないこと。
  • どの年代(小学校・中学校でも)でも行えること。
  • 運動の強度、難易度が低く誰でもいつでも行えること。

 

などを考慮すると、ウォーミングアップとして行うことで効果的に活用できるのではないかなと思います。

 

デメリットとしては 

 

  • このままだと運動強度が低すぎてパフォーマンス向上に繋がるかは微妙で、傷害予防の効果しか期待できないかもしれない。
  • 惰性で行う可能性が高い。
  • 段階的なステップアップをどうする?

 

なんてことが考えられるんじゃないかなとは思います。

 

とはいっても、FIFA11+の一番の良い点は、

複数の予防エクササイズがまとめられ体系化されていること

だと思います。

 

それぞれのエクササイズは基本的なものでありますが、それがFIFA11+として一つの形になっていることで、指導者やトレーナーは、これをベースに様々な工夫ができるのではないでしょうか。

 

これらのエクササイズを行うことが目的ではないので、これを基準にして設定やエクササイズの種類を変更することは何の問題もないでしょうし、工夫次第では、技術戦術トレーニングと合わせて行うこともできそうです。

 

指導者、トレーナーの工夫次第ですね。

 

まとめ

今回はFIFA11∔に関してでした。

 

「練習前のアップは、グランドを2周走ってからストレッチ」

なんてチームは日本中にいくらでもあると思います。

まずはJFAも公開してくれているFIFA11+をやってみて、それから各々の色を付けくわえていく、なんてのもいいんじゃないでしょうか。

 

なんにせよ、「傷害予防」に取り組むことはアスリートとして必須条件であると思いますし、「怪我をしない選手はいい選手」とも言われたりしますので、FIFA11+でなくとも、何らかの効果的な傷害予防プログラムはやるべきでしょう。

 

*2018.9.18 追記

FIFA11+には内転筋の予防エクササイズが入っていないんですよね。

ということでこんなのがお勧めです。

 

参考

Effect of specific exercise-based football injury prevention programmes on the overall injury rate in football: a systematic review and meta-analys.

 

The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.

どちらも全文無料でダウンロードできます。