#26 一瞬のスピード、パワーを身に付けたいなら筋力だけじゃなくRFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率)も考えよう。

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レジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)を行う目的として、筋力の向上が挙げられます。

その方法はアスリートかそうでないか、また競技種目など様々な要因によって変わります。

自重で行うのか、ダンベルやバーベルをなどのウェイトを利用するのか、マシンを使うのか、などです。 

 

・ここの筋力が弱いから~

・この動きをするにはこの筋力が足りてないから~

・この筋肉が小さくて見栄えが悪いから~

多くの場合、上記のように筋力や、筋量を目的にトレーニングを行うかと思います。

 

今回はそうではなく、力を素早く発揮すること、について書いていきます。

そのためのキーワードがRFDです。

 

*移転前ブログhttp://www.matsu-taiiku.com/の2016年10月の記事をリライトしたものです 

 

  

RFD

RFDとは Rate of Force Development の頭文字をとったもので、日本語に訳すと、「力の立ち上がり率」です。

これは、ある一定の時間の間にそれだけの大きさの力が発揮できるか、を示す指標です。

例えば、0.1秒で10の力が出せる人と、0.1秒で100の力が出せる人では、後者のほうがRFDは高くなります。

 

力と速度

力の大きさは速度に依存します。

どういうことかというと、

速い速度を出そうと思うと大きな力を出すことはできず、逆に遅い速度ならば最大の力を出すことができる、ということです。

 

具体例を挙げます。

例えば、バーベルスクワットを行う際に、100kgを持ち上げようとするときと、20kgを持ち上げようとするときをイメージしてください。

 

100kgの時は、100kgを持ち上げるだけの大きな力を発揮しています。

しかし、速く持ち上げることはできず、ゆっくりとした速度で持ち上げることになると思います。

「よーーーいしょっ!」って感じですね。

逆に20kgの時は、発揮している力は20kgを持ち上げるだけの力しか発揮していません。しかし、100kgの時と比べると速く持ち上げることができます。

「はいっ!」って感じで持ち上げられますね。

 

これを簡易的なグラフにしてみると下のようになります↓

力-速度曲線といわれるものです。

縦軸が力の大きさ、横軸が速度を表しています。 

 

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上のグラフで分かることは、先に書いたように、

「速度が遅いほど大きな力を出すことができ、速度が速いほど出せる力は小さくなる

ということです。

これは言われてみれば、なるほどなとイメージできるかと思います。

 

力の立ち上がり率

では、RFD(力の立ち上がり率)に話を戻します。

RFDは初めに書いたように、ある時間単位でどれだけの大きさの力が発揮できるか、といった指標です。

 

野球でボールを投げるとき、陸上競技で100mを走るとき、サッカーでボールを蹴るとき、バスケでジャンプするとき etc...

これらスポーツ動作に共通することは、

一瞬で大きな力を発揮する、ということです。

 

逆に時間をかけて大きな力を発揮するという場面は限られます。(ラグビーのスクラムなど)

 

この、2つの能力は異なる能力です。

簡易的なグラフで表すとこんな感じです↓

(直線のようになってしまいましたが、本当は曲線です。)

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最大の力は選手Aのほうが大きいですが、その最大の力を発揮するまでに0.3秒かかります。

対して選手Bha最大の力はAと比べると劣りますが、0.1秒でその力を発揮できるので、0.1秒時点ではAよりも大きな力を発揮していることになります。

 

つまり選手Bは相対的にRFDが高いということになります。

 

 瞬間的に大きな力を出すために

 RFDを高め、大きな力を瞬間的に発揮するためにはそれに適したトレーニングを行わなければなりません。

 

ウェイトトレーニングでは、一般的に筋肥大を目的に8-10RMで5セット、最大筋力向上を目的に3-5RMで5セットというような負荷設定で行われることが多いかと思います。

このようなトレーニングは筋力を向上させるためには効果的です。

そして筋力の向上に伴い発揮できる力の絶対値が大きくなるのでRFDも向上します。 

 

しかし、より瞬間的な力発揮の能力を高めたい、と考えた時、トレーニング手段として上記のものだけでは不十分です。

また、筋力だけを高めるトレーニングだけでは、RFDの向上が頭打ちになる時が来ます。

 

アイデアとしては、クリーンやスナッチ等のクイックリフト系のトレーニングを取り入れる、より速度に重点を当てるためにプライオメトリクス系のトレーニングに取り組む、といったことがあげられます。

どのトレーニングを選択するにしても、RFDを高めるためには、瞬間的に大きな力を発揮する刺激、を身体に与える必要があります。

 

まとめ

今回はRFDについて書きました。

もちろん絶対的な筋力の大きさも基礎体力として重要であり、それはパフォーマンス向上へつながります。

競技によっては最大筋力の大きさが高パフォーマンスのおおきな要因となる場合もあります。

 

しかしそれだけではなく、ほぼどんなスポーツにおいても、瞬間的に大きな力を発揮するという能力は重要です。

筋力は高いのに力負けする、体が動かない、、、といった課題を持っている選手はもしかしたらRFDが低いのかもしれません。

ただ筋力、筋量にばかり目を向けるのではなく、どれだけ速く力を発揮できるか?という点からもトレーニングを考えてみてはどうでしょうか?