#60 肩甲骨の動きを確認してパフォーマンス向上・傷害予防を目指す。

スポンサードリンク

f:id:keidmatsu:20181029023526p:plain

 

過去に背中の筋力トレーニングに関していくつか書きました。

その中の一つでは、肩甲骨の動きは大事だけど、広背筋をターゲットにしてる場合は肘を弾ききることも大切、といった趣旨の記事でした。

 

#12 広背筋を働かせたい背中のエクササイズは、肩甲骨に注目することも大切だけれどそれだけでなく。 - Matsu Sports Training  

 

その時点では、肩甲骨の動きが出ていない人の多さに気づいてなかった自分がいたのでそう書いたのでしょう。いやそこはできてるだろう、と。

しかし今は、まず「肩甲骨の動きが出ているか」をもっと見なければなと感じています。

 

 

  

肩甲骨と腕の関係 

いわゆる方から先の腕のことを「上肢」と言います。

多くの場合、方から先を腕だと考えがちですが、腕の始まりはどこかと考えると、肩甲骨と鎖骨から考えるのがいいでしょう。

 

#5 「腕」はどこから腕と考えるか。 - Matsu Sports Training

 

肩甲骨、鎖骨を含む腕のことを「上肢帯」と言います。

 

仮に肩甲骨がこの位置から全く動かなければ、上肢を自由に上にあげたり、後ろに引いたりできません。

 

f:id:keidmatsu:20181101012057p:plain

一般に肩関節と呼ぶときは、肩甲骨と上肢(上腕骨)の間で構成される関節を指します(肩甲上腕関節)

(肩甲上腕関節は、上の図で腕の骨と肩甲骨との間のかんせつです。)

 

肩関節(肩甲上腕関節)が動くだけでは、ものを投げたりするだけの可動域を確保することができません。

上腕骨が肩甲骨にぶつかってしまうからです。

 

腕を上に上げる際に肩甲骨に触れてみると、腕をあげるのに合わせて肩甲骨も動いていることがわかると思います。

肩甲骨は、肋骨の上を動いており、肩甲骨と肋骨は関節を構成するわけですが、この関節は肩甲胸郭関節と呼ばれます。

 

土台となる肩甲骨が肩甲胸郭関節で適切に動くことで肩関節の可動範囲も広がり、大きな自由度を持った動きができています。

 

肩甲骨の動きとパフォーマンス

肩甲骨がどの様に動くかというと、基本の動きは

  • 内転
  • 外転
  • 挙上
  • 下制
  • 上方回旋
  • 下方回旋

の6つです。

(リンク先参照↓)

参考

アニメで分かる肩甲骨 - 僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋・前鋸筋・小胸筋

 

これらの動きが組み合わさって、肩甲骨は動きます。

 

ツイートと、上記の図からわかるように、肩甲骨は体幹と上肢(腕)を繋いでいます。

 

また、腕の動きの土台になっていて、土台としての機能が低下すると、パフォーマンス低下や怪我のリスク要因になってしまします。

 

例えば、腕を上にあげたいのに肩甲骨の動きが悪くなると、肩甲骨と腕の間で筋や組織が挟まって痛みが出る、といった症状が出ることがあります。

それ以外にも、肩甲上腕関節の靭帯にかかる負担が大きくなることも考えられます。

 

さらに肩甲骨は、肋骨(胸郭)の上を滑る様に動く(肩甲骨胸郭上で)くので、体幹と腕の動きを分離させることができます。

 

これができると、腕の動きの自由度がましますが、それは例えばサッカーで相手を腕でブロックしたり、走るとき体のブレを少なくできたり、ということに貢献するでしょう。

 

肩甲骨が動かないと

例えば懸垂やショルダープレスの様な筋力トレーニングで、(もちろんそれ以外もなんですが)肩甲骨が適切に動かないと、肩関節に負担がかかったり、十分に筋を活動させることができなかったり(可動域が狭くなるので)します。

 

 特に肩関節への負担は大きくなり痛みを誘発する可能性があります。

 

ここで最近見た事例を紹介したいと思います。

 

肩甲骨の可動性・安定性がともに不足していたために肩関節(肩甲上腕関節)に負担がかかり、痛みを誘発していた事例がありました。

 

懸垂、ラットプルダウン、ショルダープレス、サイドレイズなどのエクササイズを繰り返していたようで、次第に痛みが出てきた、ということでした。

 

Joint by Joint theoryでは肩甲骨(肩甲胸郭関節)はスタビリティの役割だとされていますが、適切な角度、位置で安定性を発揮するためには可動制が必要です。

その可動制を獲得するためには肩甲骨周囲筋の筋力や協調制も必要です。

 

どの動きが阻害されていて、その機能を獲得するためにはどうすれば良いか、考えさせられた事例でした。

 

何でもかんでも、瀬垢の筋力が重要だからと、肩甲骨の動きを見ずに筋力トレーニングを行って行くのは危険だと感じさせられました。

 

懸垂をしようという記事を以前書きましたが、

#28 サッカー選手、懸垂で広背筋を鍛えよう。 - Matsu Sports Training

これも適切な動きが出ていない状態で行うのはリスクがありますね。

 

まとめ

肩甲骨が動いているか?というのはただ動いているという意味ではなく、適切なタイミングで適切な方向に動いているかどうか?という意味です。

 

これが崩れると、背中の筋力トレーニングにならないばかりか、肩の痛みの誘発リスクがぐっと高まります。

 

また、自分の筋力以上に過度に大きな負荷を加えてトレーニングすることで、肩甲骨の動きが出ずに上肢だけを動かしてしまっている、ということも多いということを最近改めて感じました。

これは、サッカー選手はもちろんですが、上肢をより多く使う競技の場合はさらに気をつけなければならないだろうと感じています。

 

これ以外に立甲というものがありますが、これはまだ僕が理解しきれていないので今回触れずにおきます。

今後理解&有効だと感じたらまた記事にしたいと思います。