持久系トレーニングと聞いて思い浮かべるものにはどんなものがあるでしょう。
ジョギングやランニング、バイクトレーニングはもちろん、多くの球技系スポーツはその種目自体が持久系トレーニングになり得ます。
持久系トレーニングは、酸化系のエネルギー代謝能力の向上や心肺機能の改善、また、低強度のものであれば抑うつや糖尿病改善などの効果もあり、非常に効果的なトレーニングです。
多くの競技では、持久系能力がパフォーマンスに与える影響は大きいため、アスリートが持久系トレーニングを行うことは必須ともいえます。
そんな持久系トレーニングですが、筋力トレーニング(以下レジスタンストレーニング)と並行して行う場合注意が必要です。
*この記事は過去のブログで2016年11月に書いたもののリライト記事です。
レジスタンストレーニングの効果が減少する
結論から書きますと、
持久系トレーニングとレジスタンストレーニングを並行して行うと、レジスタンストレーニングの効果が低下する可能性があります。
上記のような現象が起きてしまうのであれば、それぞれのトレーニングは同時に行わず、どちらか片方を選択したり、もしくは期分けを行ったほうがよいのかもしれません。
しかし実際には、多くのアスリートは競技力向上のためにどちらも両立していく必要があります。
競技種目そのものが持久系種目(多くの球技、陸上長距離種目など)である場合も多いです。
そのため、よりトレーニングの効果を効率よく出していくには、トレーニングのタイミングを工夫する必要があります。
持久系トレーニングの効果は?
では逆に、レジスタンストレーニングを行うことで、持久系トレーニングの効果に影響が出てしまうのでしょうか?
基本的に持久系トレーニングの効果が阻害されることはないようです。
逆に持久系能力を向上させる可能性が示唆されています。
また、持久系トレーニングは筋を委縮させる効果があるため、それを防ぐためにも持久系トレーニングにレジスタンストレーニングを加えることは効果的だと考えられます。
それぞれのトレーニングを別日に行う
できるだけ、レジスタンストレーニングの効果を低下させないための方法として、それぞれのトレーニングを別日に行う、という方法があります。
別日に行うことで、両立することによるマイナス要素を抑えることができます。
アスリートのように毎日競技練習がない場合、または持久系競技でない場合、オフシーズンなどの条件が合えばこれは可能でしょう。
しかし、毎日競技トレーニングを行う人にとってはそれは難しく、一日にどちらも行わなければならないことも必ず出てきます。
ではその場合はどうしたらよいでしょう?
同じ日に行う場合の順番は?
選手からよく聞かれる質問の一つに、
「筋トレとランニングを今日しようと思うんだけど、どっちを先にやったほうがいい?」
というものがあります。
同じ日に行うのであれば、それぞれのトレーニング間に休息時間を設けることが望まれます。
トレーニング効果を落とさないためには可能であれば最低6時間の時間をおいてから行うのがよいとする見解があります。
例えば午前中にレジスタンストレーニングを行うのであれば、夕方に持久系トレーニングを行う、といったようにです。
しかし、現実的には2回に分けることは難しい場合も多いです。
1回でまとめて行う場合にはどうしたらよいでしょうか?
これには様々な見解があるようです。
レジスタンストレーニングを行い、その後ランニングなどの持久系トレーニングを行うのが望ましい、という見解と、その逆の両方が存在しています。
レジスタンストレーニングを先に行ったほうが良い理由としては、持久系トレーニングによる疲労が筋力トレーニングの効率を阻害してしまうことなどがあげられます。
また体内のホルモン分泌の関係からもこの順番がよいとする見解もあるようです。
逆の順番の場合、低強度の有酸素性運動がその後のレジスタンストレーニングの効果を高める、という見解があるようです。
これはどちらかというとウォーミングアップとりしての効果がプラスに働いているんだろうなと考えています。
様々な見解があり現時点では確定的なことは言えませんが、
・どちらのトレーニングに比重を置くか
・それぞれのトレーニングに対して別のトレーニングによる疲労がどの程度影響を与えるか
などの観点からも考えて順番を決める必要があるかと思います。
同時に行うのが効果的な場合
ダイエットを目的にする場合、この2つのトレーニングを同時に行うことは効果的です。
レジスタンストレーニングの効果の一つとして、成長ホルモンの分泌があります。
成長ホルモンはたんぱく質の合成や骨の成長といった作用の他にも様々な働きがあります。
その一つが脂肪の分解です。
ランニングやジョギングといった有酸素性運動の前にレジスタンストレーニングを行うことで、より脂肪の消費を効果的に行うことができるため、もしもダイエット目的で行う場合はこのように行うことが良いとされています。
まとめ
今回は持久系トレーニングと、筋力トレーニングについて書きました。
同時に行うと効果が落ちるといわれても、アスリートは両立させなければなりません。
また、持久系トレーニングが筋を萎縮させる効果があることからも、長いシーズンを闘う競技のアスリートは、コンディションを維持・向上させていくためにはシーズン中にもレジスタンストレーニングを行っていくことが必要です。
トレーニングの順番や、タイミングを工夫することで、効果的で効率の良いトレーニングを行っていきましょう。
参考文献
- Interference of strength development by simultaneously training for strength and endurance. - PubMed - NCBI
- Strength training effects on aerobic power and short-term endurance. - PubMed - NCB
- Comparison of two regimens of concurrent strength and endurance training. - PubMed - NCBI
- Concurrent resistance and endurance training influence basal metabolic rate in nondieting individuals. - PubMed - NCBI