#35 ヒップヒンジによる股関節中心の動きはなんだかんだやっぱり重要だという話。

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今回の内容も前回に引き続き「ヒップヒンジ」です。

ヒップヒンジとは、股関節を蝶番のように動かす動作です。

背筋を伸ばしたままお辞儀をするような動きをイメージしてもらえればいいかと思います。

このヒップヒンジは前回も書きました。

 

前回記事では

「デッドリフトやケトルベルスイングの動作がヒップヒンジであり、それらのトレーニングで大殿筋などの股関節伸展筋群を鍛えていくことがパフォーマンスアップになる」

というような書き方になってしまっていたと思います。


ウェイトとレーニンングによる筋力向上のために必須ですが、もちろんそれ以外にもヒップヒンジの動きは重要です。

今回はヒップヒンジについてもう少し詳しく書いていこうとともいます。

 

*この記事は過去ブログの2017年3月の記事をリライトしたものです。

 

 

ケツを使えと言われても、、、

「ケツをつかって止まれ!」

「お尻がうまく使えてないね」

というような言葉を聞いたこと、言われたことがある人は、特にスポーツを継続して行っている人には多いと思います。

 

この、ケツを使え、という言葉はいう方は簡単ですが、実行する側が、おいそれとできるかと言われれば必ずしもそうではありません。

「お尻が使ええないね。じゃあまずはお尻の筋トレをしよう。最初はうつ伏せになって足を上にあげる運動(アウフバウ)をしようか。」

 

と筋肉からアプローチする方法もありますが、それでお尻を使う動作が習得できるとは限りません。 

まずは、お尻の筋肉ではなく、お尻をを使う動作(股関節を働かせる)の感覚をつかむことから始めるのはどうでしょうか?

 

動作の中心を膝関節から股関節へ

立位で運動を行う場合、主に仕事をする関節が3つあります。

それが

  • 足関節
  • 膝関節
  • 股関節

です。

 

主にこれらの関節が連動しあって、下肢の運動は成立しています。

特に、スポーツで爆発的なパワーを発揮する際には(ジャンプ、スプリントなど)これらの関節がタイミングよく伸展するトリプルエクステンションという動作が重要になります。

 

逆に、着地やストップ動作などにおいても、これらの関節が連動して働くことで、効率よく衝撃を吸収しています。

 

しかしこの3つの関節がどれも同じ大きさの力が発揮でき、どれも同じ耐久性があるわけではありません。

 

股関節は大臀筋を始めハムストリングといった大きな力を発揮できる筋肉が動作に関わります。

また股関節の伸展運動(伸ばす動き)は背部の筋肉(広背筋、腰方形筋など)と連動させてさらに大きなパワーを生み出すことができます。

 

同じ動作を行うにしても、股関節の貢献度を高めることで、膝関節や足関節の負担を減らしつつ、大きなパワーを発揮することが可能となります。 

 

傷害予防

ヒップヒンジは傷害予防のためにも効果的です。

 

先に膝関節や足関節の負担を減らすと書きました。

これらの関節は靭帯損傷(足関節捻挫、前十字靭帯損傷、内側側副靱帯損傷etc...)や筋肉や腱の傷害(アキレス腱炎・損傷、ジャンパー膝 etc...)が多発します。

これら傷害のリスクを軽減するためにも、股関節の動作の割合を高めることが重要です。

 

例を挙げてみます。

昔、よく行われていたといわれるうさぎ跳び(年代的に直接は知りませんが、、、)は、膝関節に大きな負担がかかることが分かってからは禁止の呼びかけが広まりました。

 

うさぎ跳びが危険なのは、動作の中心が膝関節となるためです。

それにより膝関節、また股関節の運動が制限されるために腰部にも大きな負荷がかかってしまいます。

うさぎ跳びで1159段登ってみたin久能山【前編】 - YouTube 

 

同じような運動ともいえるジャンプスクワットとの違いはその点にあり、股関節のヒップヒンジにより股関節の働きを高めることで安全かつ効果的な運動として行われています。

ウェイトを持っても安全に行えるのは、股関節の動作の貢献度が、うさぎ跳びよりも高いためです。

ジャンピング・スクワット - YouTube

 

このように動作の中心が膝関節から股関節になることで、傷害の発生を予防することにつながります。

多くのスポーツ、また日常動作においても下肢で大きな力を発揮することは多いです。

 

  • ジャンプからの着地時に、膝だけ曲げて、または膝関節をメインに着地していないか?
  • 日常動作で座位から立ち上げる時に、膝の曲げ伸ばしを中心動いていないか?

このような問題に対して、ヒップヒンジを行い股関節の動きを大きくすることで、傷害が多発する膝への負担を減らし、それが傷害の発生を減らすことにつながります。

 

段階的に導入していく

ヒップヒンジ動作を行う際のキュー(その動作を引き出すための声掛け)は

  • お尻を後ろにある壁に押し付けるように
  • お辞儀をするように
  • (股関節に指をあてて)指を挟みこむようにしながらお尻を後ろに引く

 といったものがあります。

 

これでできてしまえばいいですが、うまくできなかったり、バランスが取れなかったり、背中が丸まってしまうなどといったことも起こりえます。

 

その場合は、難易度を下げて股関節や臀部、背部の意識を高めることも必要です。

 

例えば、正座をし、つま先を立てた姿勢から、股関節を伸展する。 

または、膝を立てた仰向けの姿勢から股関節を伸展する(いわゆるヒップリフトという運動)などまずは股関節の屈曲伸展の感覚から導入していくのも良いかと思います。

 

まとめ

過去にもまとめたヒップヒンジに関して、再度より詳しくまとめてみました。

「ヒップヒンジ」という名を使っていなくとも、様々な場面・トレーニングでこの動作は行われます。

 

実際のスポーツでは、このような動きよりも全身を連動させた曲線的な動きが多いです。

しかし、臀部やハムストリング、広背筋などを機能させる、身体の後ろ側の感覚を掴み、パワーを発揮するために、ヒップヒンジは効果的な動作です。

 

「背中やケツを使う感覚がわからない」

「膝や足首の怪我が多い」

「腿の前ばかり使っている気がする」

「ふくらはぎがすぐ疲れる」

などといった場合にはこの動作から行ってみて、徐々に発展させていくことで、変化につながるかもしれません。

 

もちろん動きができて、感覚が掴めたからOKというわけではありません。

そこからは筋力を向上させることやパフォーマンスに繋げていくことなど、やることはたくさんあります。

 

注意が必要なのは、過去にも書きましたが、ヒップヒンジはあくまで基礎の基礎かつトレーニングの動作なのでそこは勘違いせずにやっていく必要があるということです。

 

これに関してはリンクから見て見てください↑