Matsu Sports Training

筑波大学体育専門学群・蹴球部→東京学芸大学蹴球部でトレーナー。現在は理学療法士免許取得のため勉強中。

#32 アジリティ・スピードトレーニングのつもりが持久系トレーニングになってしまう?

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50mの距離を走るとします。

仮に、全部で6本、全ての本数を最大努力で走るとすると、この時のトレーニングは、50m × 6本のスプリントトレーニングといえます。

 

では、このトレーニングプログラムの目的は、持久力の向上でしょうか?

それとも最大スピードの向上でしょうか?

 

 

最大努力で行う

スピードの向上やジャンプ高の向上、パワーや最大筋力の向上などを目的とした際に、前提として守られなければならないこととして、

 

最大努力が可能な状態で、最大努力で行う」

 

があります。

この「最大努力が可能な状態」と「最大努力で行う」の2点はどちらがかけても十分でなくなるわけです。

 

仮に「最大努力で行なっている」つもりでも、疲労した状態であれば、本来の80%の力しか出せていない可能性があります。

スピードやジャンプ高、パワーの向上などは、技術的な側面を除いて考えれば、自分の最大値を高めようとする行為です。

それを、最大努力が発揮できない状態で行うことは効率が悪いばかりか、求めるトレーニング効果が現れない可能性が高いです。

 

量と休息時間

それを避けるために、最も基本となることの一つが、量と休息時間の設定です。

 

冒頭の話に戻りますが、

50mのスプリントを6本行うとして、これは最大スピードの向上が目的でしょうか?

それとも持久力の向上が目的でしょうか?

 

これは、この情報だけでは判断が難しいです。

なぜなら休息時間の説明がなされていないからで、仮にこれが、本数間の休息時間が数分あるのなら最大スピードの向上が目的と考えることができます。

 

しかし、休息時間が20秒ほどであれば、間欠性の高強度インターバルトレーニングと考えることができ、その場合は持久力の向上が目的と考えることができます。

最大スピードが出せるのは1本目だけでしょう。

 

また、休息時間が十分であったとしても、本数や総時間などのトレーニング量が多くなれば、それは最大スピードの向上というよりも持久力の向上という側面が強くなってくるかもしれません。

 

サッカー選手のスプリントとトレーニング量・休息時間に関してはこちらの記事が参考になります↓

yhiradefootballmedicine.com

 

十分な休息をとり、適切な量に抑える理由

よく、数十メートルのスプリントを何十本もやったという話や、休息を十分取らずに何本もアジリティやパワー向上のトレーニングをやった、という話を聞きますが、

仮にトレーニングの目的が、スピードやパワーといった能力の最大値の向上であれば、本数間やセット間の休息を十分にとって、かつ毎本最大努力で最大値を出し続けるように行うことが必要です。

 

また、量が増えればそれだけ疲労も蓄積してくるので、フレッシュな状態を保てる量に設定すること、もしも量を増やしたければ、例えば8本1セットのところを5本×2セットにしてみるなど、といった適切な量のコントロールが必要となります。

 

これはアジリティトレーニングでも一緒ですね。

ドリル形式で行う場合は、一回の試行時間も検討する必要があり、人が全力で動き続けることができるのが8秒ほどであることを考えると、数秒間で終わるような設定で行う必要があるかと思います。

時間が長くなれば長くなるほど、最大値は出せていないわけですから、持久系の色が強くなっていくわけです。

 

このように設定上の工夫をすると、いわゆる「きつさ」は減ることがあります。

 

アジリティドリルを連続で5秒間行うのと、20秒間行うのを比べてみる。

30mのスプリントを6本、休息時間を1分で行う場合と10秒で行う場合を比べてみる。

 

どちらも「きつさ」は後者の方が大きくなりますが、スピードやアジリティの向上という目的では前者の方がトレーニング効果が期待できるわけです。

 

トレーニングの質と量の話

トレーニングの質と量の話はよくでてきますが、今回の話と交えて考えてみると、そもそもこれらは二項対立の図式で議論されるものではないことがわかってきます。

 

そもそもどう考えても、多くのトレーニングをこなした方がいいわけです。

ただし、その前提条件として「トレーニングの質が保てる」が存在しています。

 

今回の話で言えば、50mスプリントをたくさん、あるいは一度に長い時間、または休息時間を短くすること自体が間違っているというよりも、その前提条件である「トレーニングの質」に負の影響が出てくることが問題なわけです。

この場合のトレーニングの質の高低は、最大スピード向上への影響の程度、で決まるはずなので、仮に量を増やすことで疲労がたまり、その効果が小さくなるようであれば量を減らす必要があります。

 

逆に一般的に見て多い量であっても、その人がトレーニングの質を保てる、という前提条件のもとガンガンやった方がいいと考えています(もちろん長期的なオーバーロードのリスクを考慮した上で)。

 

まとめ

量や時間の多い、あるいは休息時間の短いアジリティ・スピード・パワー系のトレーニングプログラムは、本来の目的ではなく、持久系のトレーニングという比率が高くなってしまうことがありあります。

しかしそれは、単純な量や休息時間の設定の工夫でそれを改善できることは多いです。

 

また最後に書いたトレーニングの質と量の話も、質が担保されるという条件下では、量を増やしてもいいわけですね。

 

この二つは根本的なところでは同じ話だと考えています。

 

 

こんなことも考慮しながらトレーニングを行うことでより効果的行える可能性は高まると思いますので、ぜひ考えてみてください。