#14 怪我をした後は「適切な負荷」をかける。早期からの”Optimal Loading” -POLICE-

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怪我をしてしまったら、まずは応急処置が必要となります。

これまで、受傷後の対応としてRICEやPRICEがメジャーな方法として用いられてきました。

RICE、またはPRICEは

  • P:Protection(保護)
  • R:Rest(安静)
  • I:Icing(冷却)
  • C:Compression(圧迫)
  • E:Elevation(挙上)

の頭文字をとった言葉で、受傷直後にはこれらの処置を行いましょう、とされています。

僕が大学で教わったのもこのRICEあるいはPRICEです。

 

しかし、現在、RestをOptimal Loading(適切な負荷)に変更した、POLICEという考え方に変わっているようです。

 

 

 

RestからOptimal Loadingへ

PRICEのRestにあたる”R"が、Optimal Loadingの”OL"にかわり、POLICEとなっています。 

 

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RICEでは、受傷直後から数日間、患部を安静にすることとしていました。

しかしPOLICEでは、受傷直後には安静が必要とするものの、それは受傷直後に限られるべきで、必要以上に長期の安静は組織や機能的な側面に対して悪影響を及ぼすとし、早期から適切な負荷をかけていくことを求めています(1)。

(例えば足関節捻挫において、早期から適切な負荷をかけていくことで、従来のPRICE処置と比較して足関節の機能が有意に改善された、という報告があります。(2))

 

一見、損傷した部位に負荷をかけると、悪化させてしまうように思われますが、「適切な」負荷であれば、それが回復に繋がります。

 

逆にいつまでも松葉杖を使っていたり、必要以上にギプス固定をしたり、がマイナスに働いてしまう、ということです。

 

特にトレーナーがいないチームの選手は、受傷から数日間、長ければ一週間以上患部に必要な負荷をかけずに過ごしてしまうということが少なくないので注意が必要でしょう。

 

あとよくあるのが、自分自身でも動かしていいのかわからず、動かしたら痛いと思い込んでいる場合です。

これが意外と多く、そのような場合は簡単なROM改善の運動から始めると、「あれ意外と痛くない」、となったり、そのまますんなり歩けたり、ジョギングまでできてしまったり、ということはよくあります。

 

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適切な負荷はどれくらい?

じゃあ適切な負荷ってどれくらいなの?という部分が問題位なりますが、これは介入するトレーナやPTなどが、医師の診断や対象者の状態から判断していくことになるようです

 

もちろん負荷が大きすぎれば、患部の状態を悪化させてしまいます。

そのうえで、どれくらいの負荷ならかけても大丈夫なのかを判断しながら介入していくことが求められます。

 

まとめ

上にも書きましたが、安静がいけないのではなく、必要以上の安静が悪影響を及ぼすのです。

怪我の重症度が高ければ、安静にすることが必要です。

 

しかし、逆に受傷後1日の状態であっても、状態次第では、可動域の改善をはかったり、痛みのない範囲で患部を動かすことはできます。

 

怪我をしたらしばらく安静にしなきゃいけない。。。ではなく、可能な範囲で、可能なだけの負荷をかける、ということが早期復帰のためにも、再発を防ぐためにも必要となるということです。 

 

RICEは聞いたことがあるけど、POLICEは初めてきいた、という人は多いと思います。

「安静」がいいとは限らないということですね。

 

 

参考

1)Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE?. Br J Sports Med 2012;46:220-22

2)Bleakley CM, O’Connor SR, Tully MA et al.  Effect of accelerated rehabilitation on function after ankle sprain: randomised controlled trial. BMJ 2010;340:c1964