#11「ブラジル体操」をウォーミングアップとして行う際に考えることは?

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ブラジル体操。

 

サッカーに関わる人なら誰でも一度はやったことがあるのではないでしょうか?

しかし、どんな目的で行っているのか、その動きが適切なのかという点は見過ごされて、練習前・試合前の儀式として行われていることも多いです。

 

ということで、今回はブラジル体操について考えてみます。

 

 

ブラジル体操

そもそもブラジル体操とはどんなものでしょうか。

 

ブラジル体操は、小学校~高校年代をはじめとして多くのサッカーチームでウォーミングアップとして行われています。

 

おそらくこれには明確な定義はなく、

「リズムに合わせてジョギングとバリスティック・ダイナミックストレッチを組み合わせて行うもの」

をブラジル体操と呼んでいる、と考えていいと思います。

 

ブラジル体操のエクササイズ内容は、大まかなベースはあるにせよ、チームによって異なっています。

股関節の可動域を獲得することを目的としたエクササイズが多い印象です。

 

 こんな感じですね↓

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じゃあこのブラジル体操はどのように行うのが正解か、と聞かれると、おそらくそれは何を目的にするかによって変わると言えるでしょう。

 

脊柱を動かさない

純粋に股関節の可動域の獲得を目的にする場合、また体幹部を安定させた状態での四肢の可動域を獲得したい、という場合には、脊柱の代償動作が出ないように行うことが求められます。

 

例えば、脚をまっすぐ振り上げるエクササイズ(一つ目の動画の50秒~)で、

「上半身を前方に曲げないように(脊柱を屈曲させないように)行う」

といった感じです。

 

上半身のを前方に曲げることで、脚をより高く振り上げることができますが、それは、脊柱の屈曲や骨盤の後傾によって可能になっているのであって、股関節の屈曲可動域が向上しているわけではありません。

 

日本代表の岡崎選手はいわゆるブラジル体操と呼ばれるような股関節のバリスティック・ダイナミックストレッチをJリーグ時代からトレーニングとしておおなっているようです。

岡崎選手が行っているのはおそらくこの上半身の代償動作が出ないように行う方法で、それはSNSや堂宇がサイトの動画や、書籍から読み取ることができます。

 

サッカーはもちろん、それ以外の競技で一般的に行われるのは、この方法ですね(しかし多くの場合、こだわりを持っては行われてはいないですが)。

 

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岡崎慎司 カラダ覚醒メソッド (学研スポーツブックス)

岡崎慎司 カラダ覚醒メソッド (学研スポーツブックス)

 

 

脊柱を連動させる

では、上記のように行うのが正解かというとそうとも言えません。

 

実際のサッカーでは、キック、ドリブル、ジャンプなどの運動は、下半身の運動だけで行われるのではなく、上半身の運動と強調しあって生み出されています。

 

サッカー選手のシュートを見てみると、テイクバックでは上半身を大きく反らし(脊柱の伸展)、フォロースルーでは、上半身を前方に曲げている(脊柱の屈曲)ことがわかります。 

 

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であれば、サッカーの競技特性を考えた時に、先に述べた脚を前方に振り上げるエクササイズであっても、脊柱の屈曲伸展をあえて組み合わせることで、脊柱・股関節の可動性の獲得を目的に行うことができるかもしれません。 

 

ブラジル体操だけでいいのか?

このように目的をもって行えば十分ウォーミングアップとしても、基礎的なフィジカルトレーニングとしても活用できます。

 

しかし、ウォーミングアップとして考えた時、いわゆるブラジル体操(動画のような)だけでいいとはいいがたいです。

 

過去にFIFA11+に関して書きましたが、FIFA11+にも含まれている、「筋力・プライオメトリクス・バランス」が多くのブラジル体操には含まれていません。

 

傷害予防に関して、筋力や固有受容器が要因の一つとして関わることを考えると、それらにアプローチするエクササイズを導入することが必要ではないでしょうか。

 

まとめ

ブラジル体操とひとまとめに考えてしまうと、

「そもそもブラジル体操って意味あるの?」

「ウォーミングアップとして適切なの?」

と考えてしまう人も多いのではないかと思います。

 

なぜなら、ブラジル体操という一つの儀式のようなものになってしまいがちだからです。

声を出して、一体感をだすことや、単に体温の上昇のためだけに行っているように見受けられるチームも多いです。

 

チーム単位で行うウォーミングアップは、アップとして行うだけでなく、傷害予防やフィジカルトレーニングとして考えることもできるはずなので、それではもったいないです。

 

「何を目的に行うか」から考えていけば、今やっているブラジル体操の中でも、これは必要ない、これはもっと改善できるといったことが見えてくるのではないでしょうか。