#6 競技力向上のための課題を可能な限り言語化することの重要性。

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最近、筋力トレーニングに対する関心が高まってきています。

 

SNSが発達したことで、個人で商法発信する人が増えたこと、いわきFCなど独自性を持ったチームが一つの結果を示したことなど、様々な要因がありますが、一種の筋トレブームと言ってもいい状況です。

 

ウェイトトレーニングをはじめとするレジスタンストレーニングはによる筋力・パワーの向上は、それにに取り組んだからといって必ずしも競技に直結するわけではありません。

 

実際の競技パフォーマンスの課題は何なのか、そのために何が必要なのかといった部分から考えをスタートし、課題を明確化させる必要があります。

 

それができてないと、スクワット150㎏を達成したこと、クリーンで爆発的なパワーを獲得することなどフィジカルトレーニングそのものが目的化してしまったり、パフォーマンスの一要因の向上にだけ取り組んだ結果、実際の競技パフォーマンスに繋がらない、といった現象が起きてしまう可能性があります。

 

それを防ぐためにも、まずは、

「課題を可能な限り具体的な言葉で表現する」

といったことが必要となります。

 

 

あいまいな表現

「体力をつけたいです。」

「足を速くしたいです。」

「体を大きくしたいです。」

「技術を高めたいです。」

 

このような言葉は、おそらくどんなスポーツでも聞かれる言葉でしょう。

 

しかし、これは非常にあいまいな表現で、例えば「体力をつけたい」といったとき、これは多くの場合「持久力を向上させたい」という意味です。

 

しかし、「持久力を向上させたい」でもまだ不十分な表現です。

 

サッカーにおいて例を挙げると、サッカーのピリオダイゼーションで述べられているように、同じ持久力が足りないと表現されるシチュエーションでも、

 

  • 「70分までは連続したアクションを行うことができるが、70分以降はその頻度が低下しカウンターを受けた際に自陣へ戻ることができない。」
  • 「70分以降足がとまる」

 

といった表現の違いで、具体性に大きな差が生まれ、結果的に必要なトレーニングを考える際に影響を与えます。

  

 

また、

 

  • 「フィジカルコンタクトが弱い。」
  • 「フィジカルコンタクトの際に、腕で相手をブロックすることができないため、ボールをうまくコントロールすることができない。」

 

とでは、前者では、

「じゃあ筋トレして基礎的な筋力をつけて当たり負けしない身体をつくろう。」

といった考えに繋がるかもしれません。

 

対して後者のように具体的に課題を表現することで、

「フィジカルコンタクト時の腕の使い方のスキルを向上させよう。」

といったように全く違うアプローチになる可能性があります。

 

もちろんその逆も然りです。

 

あいまいな表現をすると、本来の課題は何なのか、トレーニングの方法はそれでいいのか、といった部分もあいまいになりがちです。

 

可能な限り具体的に

これはサッカーのピリオダイゼーションでも重要な点となっていますが、課題を可能な限り具体的に表現することで、その課題に対するアプローチは格段に変わるはずです。

 

ウェイトトレーニングの話に戻りますが、筋力・パワーはあくまでパフォーマンスの前提条件であることを踏まえると、結果的にどんなスキルに結び付けていくか、それによって競技パフォーマンスがどのように向上するか、という逆算が求められます。

 

Trainin for Trainingという言葉がありますが、実際のパフォーマンスとの結びつきが考慮されていないようなフィジカルトレーニング、スキルトレーニングはトレーニングのためのトレーニングとなってしまいます。

 

これは、いわゆる身体の使い方を向上させるトレーニングにもいえることですが、それが具体的にどの競技動作に結び付くか明確になっていなければ、器械運動を行った方がはるかに身体の操作性を高められるのではないでしょうか。

 

まとめ

ウェイトトレーニングが必要・不要といった論争はおそらくなくなることはないでしょう。

 

この議論ほど不毛なものはなく、パフォーマンスから逆算して、必要であればやる、必要でなければやらない、これだけです。

しかし、多くの場合、筋力・パワーの向上が必要であるため、アスリートにはそのようなフィジカルトレーニングが必要だ、と勧めているにすぎません。

 

ダンサーや体操選手は特別バーベルスクワットやハイクリーンを行う必要がないかもしれません。

 

しかし、サッカー選手で、相手FWにジャンプヘッドで競り負けないために、や、相手DFをドリブルで抜き去るときに求められるフィジカルコンタクトで負けないようにしたい、といったような課題があり、そのために筋力・パワーが不足していると判断したならば、おこなう必要があるかもしれません。

 

 

結局は、課題を具体的に表現すること、パフォーマンスから逆算することから考える必要があるのです。