#35 ヒップヒンジによる股関節中心の動きはなんだかんだやっぱり重要だという話。

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今回の内容も前回に引き続き「ヒップヒンジ」です。

ヒップヒンジとは、股関節を蝶番のように動かす動作です。

背筋を伸ばしたままお辞儀をするような動きをイメージしてもらえればいいかと思います。

このヒップヒンジは前回も書きました。

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#34 アスリートが股関節と背中を使う感覚をつかむためにヒップヒンジ動作を導入する。

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今回は,「ヒップヒンジ」を紹介したいと思います.

過去にこちらの記事で触れていますが、もっと基本的な「ヒップヒンジってなんぞや」というところに触れて行きたいと思います。

 

聴きなれない言葉かもしれませんが,非常に重要な動作です.

 

*この記事は過去のブログの2016年11月に書いた記事をリライトしたものです。

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#33 グランドでできるサッカー選手の内転筋の肉離れ予防「コペンハーゲンアダクションエクササイズ」

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ハムストリングの肉離れはサッカーで好発する傷害であるため、それをいかに予防するか、というのは多くのチーム、選手の課題だと思います。

 

そのためのエクササイズとしてFIFA11+にも含まれているノルディックハムストリングは有名です。

ノルディックハムストリングはハムストリングに遠心性収縮(エキセントリック)で高い負荷をかけることができ、なおかつグランドでもできる、というところがメリットで、ハムストリングの肉離れの予防に貢献する可能性が高いです。

 

しかし、実際に発生する筋肉系の傷害はハムストリングの傷害だけではありません。

サッカーでは、内転筋群の肉離れや股関節痛も好発します。

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#32 アジリティ・スピードトレーニングのつもりが持久系トレーニングになってしまう?

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50mの距離を走るとします。

仮に、全部で6本、全ての本数を最大努力で走るとすると、この時のトレーニングは、50m × 6本のスプリントトレーニングといえます。

 

では、このトレーニングプログラムの目的は、持久力の向上でしょうか?

それとも最大スピードの向上でしょうか?

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#31 読書記録始めました。

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本を読むのが好きなのは昔からで、小学校のころはハリーポッターやデルトラクエスト、ダレン・シャンなんかが記憶に残っています。

 

高校から大学の前半にかけて全然読まなくなってしまっていたのですが、大学3年生くらいからまた読むことが多くなって、一時期は個人のInstagramで簡単な本紹介もしていました。

 

自分の中で、読みたい時期とそうでもない時期の波こそあれ、定期的に本を読む習慣は付いているので、せっかくだからブログでも本に関して書いてみようかなと思い、実行してみました。 

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#読書記録1 【人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている】を知らない人は損をする。

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Twitterで少し話題になっていて気になっていたので、Amazon Primeの翌日配送を指定したのですが、非常に面白く1日で読み終えてしまいました。

 

せっかく読んだ本をブログにしたいなあとも思っていたので、この本を第1号に、#読書記録を始めたいと思います。

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#30 サッカーに必要な体力はサッカーだけをしていても向上できない?

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今回は以下のブログの考え方が、トレーニングを行う上ですごく参考になる考え方だと感じているので、それについて書いていきたいと覆います。

 

競技練習を行うことは前提条件ですが、それだけでは必要な体力要素を向上させるのは難しいかもしれません。

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#29 片脚のトレーニングと両脚のトレーニングをウェイトトレーニングで考えてみる。

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トレーニングを行うときの姿勢として,仰向け(仰臥位),うつ伏せ(伏臥位),横向き(側臥位),四つ這い,座位,膝立ち位,立位などがあります.

これらの姿勢は,トレーニングの目的や段階によって使い分けます.

その選手の能力,課題にトレーニング種目を合わせるために,たとえ同じ筋や動作をターゲットとしていても,仰向けであったり立位であったりといった変化が起きます.

 

今回は立位,その中でも片脚立ちでレジスタンストレーニングについて書いていきます.

 

【*この記事は、過去のブログで書いた、2016年11月の記事をリライトしたものです】

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#28 サッカー選手、懸垂で広背筋を鍛えよう。

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単純な筋力がそのままスポーツパフォーマンスに直結するとは限りません。

また、筋力の与える影響度合いも競技によって異なり、同い球技でも、アメリカンフットボールやラグビーのような競技とサッカーやバスケットボールを比較した時は、前者の方がより筋力が大きな要因となることが予想されます。

 

だからと言って筋力が必要ないか、と言われれば。。。

といった話は様々な場所でされているのでここではこれ以上触れるのは避けておきます。

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#27 パワートレーニングで「力」を重視するか「速度」を重視するか。

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前回、パワーに関連する記事として、

RFD(Force of deveropment)に関する記事を書きました↓

#26 一瞬のスピード、パワーを身に付けたいなら筋力だけじゃなくRFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率)も考えよう。 - Matsu Training Blog

 

この記事の中で、

「力の大きさは速度に依存する」ということを言いました。(詳しくはリンク先記事で。)

大きい力を出そうとすれば、速度は小さくなり、逆に小さな力であれば大きな速度をだせます。(負の関係)

 

今回はそんな「力」と「速度」、そして「パワー」について書いていきます。

 

*この記事は過去ブログhttp://www.matsu-taiiku.comで2016年10月に書いた記事を修正してリライトしたものです。

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#26 一瞬のスピード、パワーを身に付けたいなら筋力だけじゃなくRFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率)も考えよう。

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レジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)を行う目的として、筋力の向上が挙げられます。

その方法はアスリートかそうでないか、また競技種目など様々な要因によって変わります。

自重で行うのか、ダンベルやバーベルをなどのウェイトを利用するのか、マシンを使うのか、などです。 

 

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#25 チームのウォーミングアップに必ず「フリーアップ」の時間を3分間入れる理由。

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チームの練習が始まる前に、全体でウォーミングアップを行うチームは多いと思います。

 

典型的な日本のサッカーチームのウォーミングアップは、チーム全員でグランドを数周走ってから、ストレッチを行う、あるいはブラジル体操を行う、といった感じだと思われます(それ自体の良し悪しは今回は触れません)。

 

チームによっては、鳥かごやロンドと呼ばれるボール回しや、パス&コントロールのドリルなどウォーミングアップからボールを使う、という場合もあるかと思います。

 

僕がチームのウォーミングアップを担当させてもらうようになって今シーズンで3シーズン目です。

1シーズン目とは所属チームは変わりましたが、両チームとも監督の理解に恵まれ、毎練習の冒頭10分前後を担当しています。

 

たかが10分といえど、週に4回練習するとしたら週40分、月換算すれば160分ほどの時間になるわけで、ただ儀式的なウォーミングアップをするにはもったいない時間です。

 

ウォーミングアップの目的は複数あげられますが、最も大切なのは、その後のトレーニングでより効果的な練習が心身の状態をつくることだと考えています。

 

だからといって、準備という視点だけに目を向けていてはやはりもったいないと考えているので、日によってはダンベルやケトルベルを使ったり、鉄棒を使ったり、強度の高いプライオメトリクスや方向転換系のプログロムを行ったりなど、トレーニングとしての側面も混ぜていることが多いです。

 

そんなチームのウォーミングアップですが、 全体でまとまってエクササイズを行う前に必ず「フリーアップ」の時間を入れています。

 

 

フリーアップの時間

フリーアップは3分前後の時間で行います。

その3分間は、選手各々が自由にウォーミングアップを行います。

 

ボールの使用は禁じているわけではないですが、基本的に全員が軽いジョギングをしながら何らかのエクササイズを行っているという感じです。

 

フットワークや減速・加速の確認をしている選手もいます。

 

フリーの時間をとっているというと

「練習前に各自時間があるんだから、わざわざ練習が始まってからそんな時間をとる必要はないんじゃないの?」

と考える人もいるでしょう。

 

そもそも最初にフリーの時間をとっていたのは、僕の先輩のトレーナーの方で、引き継いだ時点でその流れのまま行っていただけでした。

 

しかしそれから2年以上たっても、チームが変わっても続けているのは、この3分に以下のようなねらいを込めているからです。

 

  • 選手が自分の身体の異常に気付く
  • トレーナーが選手の異常に気付く
  • 全体のウォーミングアップでは行わない部分を個人で補完する
  • 自主的にウォーミングアップを行えるように
  • 準備に対する姿勢や考え方を見ることができる

 

選手が自分の身体の異常に気付くこと

これは経験がある人もいるかもしれませんが、練習が始まる前は何ともなかったのに、いざ始まった途端、「なんか変だぞ」と感じることがあります。

 

実際、

「練習始まる前は何ともなかったんですけど~」

「やれると思ったけど動いてみたら~」

といわれることはたまにあり、それにできるだけ早く気付くために、という意図があります。

 

もちろん、練習開始の前に個人個人でアップをすることは前提条件として伝えているので、その時点で気付くことが理想ですが、実際そこでは気付かなかった違和感に練習開始とともに気付くということもありますね。

 

スタッフが選手の異常に気付くこと

毎練習でフリーの時間をとっていれば、やることはルーティーン化されていることが多く、されていなかったとしても、その選手らしさが出るものです。

 

そんな中で明らかにおかしい動きをしていたり、いつもと様子が違ったり、表情が暗かったり、身体を気にするような素振りをしていれば、パッと目につきます。

 

そういう部分にこの時点で気付くことができれば、何らかの対応をすることや、早期にコミュニケーションをとることができます。

 

自分からは言ってこないけれど、おかしいと思って声をかけてみたら「実は~」となるケースも多々あるので、これは重視してる点です。

 

練習前に気付けるのが理想なんですけどね。

 

全体のウォーミングアップでは行わない部分を個人で補完する 

このフリーアップの後に、全体で5~12分間でエクササイズを行います。

 

エクササイズ自体は特別なことをしているわけではありません。

限られた貴重な時間で、かつ大人数で行うため、全体の最大公約数をとるイメージでエクササイズを選択しています。

 

そのため、個人個人で本当は必要なことが、全体のアップでは行えていないかもしれません。

そこを最初の3分間で補完してもらいたい、というのがねらいの一つになっています。

 

正直言えば、フリーアップの時間で個人で必要なことを行い、全体のエクササイズで残りを補完する、という形、あるいはフリーアップだけですべてを補うという形が理想です。

 

しかし、30人弱の人数がいる中で、すべての選手がそうできるわけではないことや、後述する全体のエクササイズの目的の観点から、現状はこのような形で行っています。

 

自主的にウォーミングアップを行えるように

指示されたものをやるだけというのは避けたいと考えています。

 

3分という時間は短いようで長く、3分あれば2〜4種のエクササイズを十分に行えますし、ただジョギングをしていても、400m〜600mは走れます。

 

だいたいこんな感じの動きをすれば自分の身体の調子がわかる、こうやればここまでの状態に持っていけるというのを3分という限られた時間で見つけてくれればいいなと思っています。

 

それが、試合の日の自分のコンディションの指標になったり(試合のアップでも同じようにフリーアップを行う)、自分に必要なものを選択する指標になったりすれば、と考えています。

 

準備に対する姿勢や考え方がみられる

これは、なんだかんだで僕が一番見ている部分ともいえるのですが、先ほど書いたように、自由な時間を提供すると個々人の個性が強く出ます。

 

毎日見ていればそこからなんらかの意図を感じることができますし、ウォーミングアップに対する姿勢も感じ取ることができます。

 

ルーティーンを行う選手、全体のエクササイズでこれまで行ってきたなかで気に入ったエクササイズを継続している選手、こだわりが見える選手、逆に何も考えてなさそうな選手 etc...

 

これまでは何も考えてなさそうだった選手が、だんだんと変わっていく様子も確認できます。

逆もしかりですね。

あれ、最近サボりがちだな、みたいな。

 

ウォーミングアップをしっかりやっているからいい選手、というわけではないですが、チームの中で能力の高い選手ほどアップの中にも何らかのこだわりが表れているように感じます。

 

全体でのエクササイズの時間

フリーアップの後には全体で数種類のエクササイズを行います。

 

理想はフリーアップだけで各自ウォーミングアップが完了する、という形ですが、

 

  • 傷害予防
  • 最低限やっておいてほしいことを全体で行う
  • エクササイズ紹介
  • トレーニングとしての側面

 

という意図で5〜6分ほど、週の1番初めの練習では10〜12分ほど行っています。

 

ここはウォーミングアップをコントロールする人のこだわりが現れる部分だと思いますが、最初に書いたように、たかが数分といえど積み重なればそれなりの時間になることを忘れないようにしています。

 

ダンベルやケトルベルを使うこともありますし、鉄棒を利用することもあります。

エキセントリックの筋発揮もほぼ毎回行います。

 

強度の高いプライオメトリクスも入れますが、アップで怪我をするという最悪の事態は起こさないように、考えながらです。

 

ただなんとなく良さそうだから、という理由ではエクササイズを選択しないように、ただ目的をずらさない範囲で出来る限り多様なエクササイズを行ってもらう(日ごと、週ごと、月ごとなど少しずつエクササイズを変えていく)ように、というのは気をつけている部分です。

 

まとめ

自由な時間を急に与えられると困惑する人もいるようで、チームが変わったときに最初に行った時には、戸惑っているような選手や何をすればわからず、ただハムストリングのストレッチをしているだけの選手もいました。

 

1年経った今では全員とは言えないもののほとんどの選手がそれぞれ何かしら考えているように見られます。

 

3分という時間ですが、時間は2分だったり5分だったりすることもあるわけですが、実施していく中でちょうどいいと感じているのが3分だ、という理由で3分にしています。

 

3分あると意外と多くのことが出来るものです。

 

もしも「うちはアップでこんなことやってるよ」という人やチームががいたらぜひ教えていただきたいなと思っています。

#24 サッカー選手のアジリティで「重心移動ができていない」状態を理解するために考えることとは?

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久々のアジリティに関してです。

 

ここまで2回に分けて、アジリティと方向転換について基本的なことを書いてきました。

こちらこちらからどうぞ!

 

1回目は、

  • アジリティの構成要素のモデル
  • 地面反力と重力を利用して移動することの基礎

という点から。

 

2回目は

  • 地面反力と重力を利用してパフォーマンスを高めるには?

 という点から書きました。

 

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#23 ハムストリングのトレーニングを股関節伸展で考えるか膝関節屈曲で考えるか②

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【昔のブログのリライト記事です】

 

今回は、前回に引き続きハムストリングに関してです。

 

傷害予防として筋肉に伸張性の負荷がかかるエクササイズを行うことはよく見られますが、では例えばノルディックハムストリングと、ルーマニアンデッドリフトではどう違うの?という疑問の1つの側面に触れていきます。

 

まだ読んでない方は前回記事からお読みください。

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